本記事では、『Wall World』を10時間ほどプレイした上で感じたゲーム性、そして全体の魅力や気になった点について、率直にお伝えします。
はじめに

『Wall World』は、機械仕掛けの巨大スパイダーを操作して垂直な壁を登りながら資源を採掘し、アップグレードを重ねて攻略していく、探索と採掘がメインのローグライク風ゲームです。
謎に満ちた「壁世界」、美麗なドットアート、多脚ロボット、『Terraria』や『Minecraft』のような採掘──このどれかに惹かれた人は、ぜひ遊んでみてください。
ゲーム概要

タイトル | Wall World |
---|---|
ジャンル | ローグライク / 採掘 / シューティング |
プレイ人数 | シングルプレイ |
発売日 | 2023年4月6日 |
日本語対応 | あり |
価格 (定価) | 800円 |
総プレイ時間の目安 | 10 ~ 15時間 |
Steamレビュー | 非常に好評 91% (9,465件) |
謎に満ちた「壁世界」を巨大なロボスパイダーで探索しよう。貴重な資源を採掘し、装備を強化して怪物の群れと戦い、そしてその合間に珍しいバイオームを見つけよう。君は生き延びてこの「壁世界」の秘密を暴けるだろうか?

評価 (3.0 / 5.0)
【評価: 】
採掘、強化、ローグライク的な要素に惹かれて始めたものの、実際のゲーム体験にはかなりクセがあります。
ローグライク的な自由度やビルドの多様性は薄く、実際には決められた手順をなぞる一本道のシナリオゲームに近い印象を受けました。
序盤はやたらと硬いブロックを延々と掘り続けるだけの単調なゲームですが、それを乗り越えてある程度アップグレードが整ってきて初めてゲームの楽しさが見えてきます。
一方で、採掘中に強制的に差し込まれる戦闘要素はおまけ感が強く、爽快な採掘のテンポを妨げるうえ、戦闘やそのシステム自体にもあまり面白さは感じられません。
それでも、アートや独自の世界観の完成度は非常に高いので、そういった雰囲気面に魅力を感じる人なら、プレイする価値があると思います。
ゲームの魅力と特徴
美麗なドットアートと独特の世界観

「機械仕掛けの巨大スパイダーで垂直な壁の世界を移動し、採掘しながら”世界の謎”を解き明かしていく」──そんな、他にはないロマンある世界観と、美しいドット表現が本作一番の特徴です。

天候や背景にも細かなモーションが施されており、機械に積もった雪や、動き出した際に吹き飛ぶ演出は、これだけで購入する価値があると納得できます。
本作の魅力の大部分は、この世界観と美しいアートにあるのではないでしょうか。
ゲーム中盤の爽快感ある採掘

周回を重ねてアップグレードを取得していくことで、序盤からは想像もできないほど爽快感ある採掘ができるようになります。
『Terraria』や『Minecraft』などのゲームで掘ること自体が好きな人にとっては、ここが一番楽しめる瞬間だと思います。
ゲームの問題点
序盤と終盤の掘削が苦行

ゲーム序盤の作業感
序盤はまだアイテムや強化が揃っていないため、ブロックが非常に硬く、1つを壊すのに約3秒近くもかかります。
さらに、30秒おきに敵の襲撃があり、すこし掘るたびに地上に戻されてしまうため、テンポが著しく悪く感じられます。
序盤はとにかく作業感が強いので、この時点で多くのプレイヤーが挫折してしまっていると思います。
ゲーム終盤に、また序盤の感覚へ後戻り
中盤にも差し掛かるとアップグレードが整い、採掘速度が大幅に向上。
ようやく快適に掘れるようになり、ゲームの楽しさをやっと理解できます。
…が、その快適さも長くは続きません。
終盤に入り、深い洞窟へと進むようになると、採掘の快適さの理由「スパイダーに近いと採掘&移動速度のバフ」が届かなくなり、掘削は一気に非効率へ逆戻り。
せっかく整えたアップグレードがリセットされたようなもので、序盤と同じ程度の速度になります。
中盤に一度スピード感を味わった後だからこそ、この遅さのギャップは余計にストレスに感じました。正直この時点でプレイを続けるのがかなり苦痛になりました。
戦闘フェーズが盛り上がらない

おまけ程度の戦闘
戦闘フェーズは最初から最後まで単調で、盛り上がる場面もありません。
この要素はあくまで“おまけ”として認識されている印象で、Steamレビューなどでも称賛する声はあまり見られませんでした。
にもかかわらず、この戦闘が数十秒おきに強制的に挟まるうえ、必ず対処に向かわなければいけないのが厄介です。
戦闘フェーズのせいで採掘に集中できない
戦闘フェーズが頻繁に挟まるせいで、肝心の採掘に集中できません。
始終、ゲームプレイ内容の多くが「洞窟から地上への往復作業」になってしまいます。
- 深くまで掘りに行く
- 到着して少し掘る
- 戦闘が起きるので地上に戻る
特に洞窟が深くなる後半では、移動距離が伸びるぶん往復にかかる時間も増え、テンポの悪さがさらに目立ちます。
効率よく進めるにはあまり深く掘らず、浅い場所で繰り返しプレイするのが最適解になりがちです。
ローグライクらしい構築の楽しさがない

ローグライクといえば、運によるゲーム体験の幅、ビルドの構築、ハイスコア更新を目指したりといった楽しみ方が一般的かと思います。
しかし本作では、そうした“ローグライク的な楽しみ”を感じる場面がありません。
ゲーム進行や効率化において、そのプレイ中に拾ったアイテムよりも、周回によって恒久アップグレードをいくつ積めたかどうかが全てで、ゲーム中に得られるビルドや選択はほぼ影響しません。
いわゆる「ローグライク的な駆け引きや展開の妙」は、この作品には存在しないと言っていいでしょう。
UIや操作性の悪さ

UIや操作性には、全体的に不便さを感じる場面が多くありました。
とくに気になったのは、装備中の武器リストに不要な武器まで表示されてしまい、武器の切り替え時に毎回そのページを経由しなければならない点です。
また、操作設定が多いうえに初期設定のキーコンフィグも扱いづらく、意図しない操作を誘発し、明確にプレイ中の時間ロスとストレスの原因になっていました。
プレイ後の率直な感想

期待が高まった状態でプレイ開始
最初にプレイを始めたとき、91%という非常に好評なレビューから期待していたものとは裏腹に、やたら硬いブロックを延々と掘り続けるだけの単調な作業。
「いつ面白くなるのか…」別の作業をして気を紛らわせながらプレイを続けました。
約5時間かけて一通りのアップグレードを最大まで開放できた中盤で、ようやく爽快感ある採掘を体験し、これから時間を忘れて熱中できる良ゲーの予感がしました。
ローグライクとは呼べないゲームシステム
しかし、その後ゲームのクリア条件やシステムの本質、攻略手順を理解してからは、楽しさが急速に失われます。
快適だった洞窟掘りは再び硬くなり、手に入る武器にも大差なく、結局はアップグレードを重ねるだけの単調な繰り返しだと気づいてしまいました。
今では、このゲームをローグライクと呼ぶのは難しいと感じます。
問題点は多いが、それでも買う価値はあり
あまり世界観を重視しない私にとって、唯一楽しめたのは中盤の短い爽快な採掘の時間だけでした。
私にとっては、戦闘要素をなくしてひたすら掘って強化するだけのゲームだったらもっと良かったと思います。

それでも、この世界観とドットアートは目を見張るものがあります。
散々問題点やネガティブな意見を述べましたが、それでも世界観を重視する方には、このゲームをおすすめできます。
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